ハイブリッド種の誕生

古代から人々は遺伝子もDNAも知らなくても、掛け合わせという手段を使ってより有用な農作物や家畜を作ってきました。ゆるやかな遺伝子操作をしてきたわけです。現代でも、競馬の世界は遺伝子にお金をかけていると言ってもいいくらいで、様々な選択交配の結果、競走に特化したサラブレッドが誕生し、その中でも足の速いものどうしが掛け合わされ、今では短距離馬のマイラー、長距離馬のステイラーというように別々に掛け合わされています。しかしもとをたどれば4頭の馬にたどり着くといいます。犬も同様に番犬・狩猟・競走・牧畜など用途によってふさわしい気質・体格を備えた種が生み出されてきました。オーストラリアンキャトルドッグはスコットランドから輸入された短毛ハイランド・コリーに野生犬ディンゴ、ケルピー、ダルメシアン、ブルテリアなどを異種交配して作出されました。ディンゴの体力と、ハイランド・コリーの知恵、ダルメシアンの忠誠心を合わせ持ち、牛を管理する任務への適性は随一の犬種です。しかしそのような複雑な遺伝子操作の結果、10頭に1頭は耳の聞こえないものが生まれるという遺伝的障害も生じているのです。
ところで人間にそのような例はなかったのでしょうか?失礼になるかもしれませんが、アメリカ黒人が挙げられます。アメリカのスポーツ界における黒人の活躍は著しいですが、彼らの運動能力は、良い環境でトレーニングしていることを差し引いてもアフリカの黒人より優れています。これには原因があります。彼らがアフリカから奴隷として連れてこられる時、もちろん肉体的に優れたものが選ばれました。船の中では最悪の衛生環境でぎゅうぎゅうに押し込まれ(一人当たりの空間、長さ180cm、幅40cm、高さ80cm)、2ヵ月後アメリカの地に降り立ったのは、健康と幸運に恵まれた者だけでした。彼らは、せりにかけられ年齢・性別・健康状態・体力・外見によってさらによられて売られていきました。そして生涯を肉体労働に従事したわけですが、まるで馬や犬の掛け合わせさながら体力的に優れたものどうしを結婚させ、その子たちもより強きものとして売られていったのです。(体力に劣った者は結婚させてもらえませんでした)そのようなことが100年近くも続けられるうち、アメリカ黒人の遺伝子は洗練され、彼らは肉体的能力のみならず知能も高いといいます。アメリカ白人たちは奴隷制度によって、国内に自分たちの存在をおびやかすほどの能力を備えた人種を誕生させてしまったのです。