人食い熊の実態

世界中で熊が多数生息している所といえばシベリア東部・北アメリカ大陸・日本の北海道です。なかでも熊の人間に対する被害が最も多いのは北海道。平均で年間3人が死亡し、3.6人が負傷している。農作物の被害は多い年で2千万円を超えることがあります。アメリカ国立公園は北海道よりは狭いですが、死亡例は20年間に1人の割合です。どうして北海道の熊はそんなにも人を襲うのでしょうか?日本の地形は大部分が山であり、山に囲まれた平野を埋め尽くすように人里が集中しています。かつて山すその地域は、山菜や薪を採取する里山と呼ばれる人間のテリトリーでした。人と熊が出会うとすればこの地域ですが、熊は人間の匂いのするこの地域にめったに踏み込みませんでした。人と熊の緩衝地帯となっていたのです。ところが生活レベルが向上した現代では、里山が必要でなくなり、人間のテリトリーではなくなってしまいました。また土地開発により山すそ地域が切り開かれたりした結果、人間と熊のテリトリーは接近し、人里でばったり出会う機会が増えてしまったのです。特に危険なのは子連れ熊に出くわした場合で、被害例の7割を占めています。母親は子熊が害されるのではないかという恐怖と焦りから、やむなく人間に襲いかかり、捨て身の防衛をしようとするからです。残りの3割は、手負い熊で人間に敵意を持っているものや、冬になっても冬ごもりの穴を見つけられなかったものが、飢えから人家を襲うことがあります。また昭和の時代、森林管理局が独立採算制であったころに、資金源のため山奥を針葉樹林にしてしまった所も多く、熊はえさ場を求めて人里に下りて来ざるを得なくなったのです。いずれの場合も、熊は人間そのものを食料とするために襲いかかるわけではないのですが、なかなか対策がたてにくく、北海道での苦肉の策は年300頭ずつ駆除して数を減らしていこうというものです。熊と人間との平和共存はいまだ遠く、その方法も暗中模索というのが現状なのです。