FRPとは、Fiber Reinforced Plasticsの頭文字をとったもので、日本語での正式名称は『繊維強化プラスチック』といいます。
加工しやすく丈夫で長持ち、それでいて材料費が安いため、造形物の製作ではとてもポピュラーな素材です。
町でよく見る金属や木材ではない大型のオブジェや立体看板などは、FRP造形物である場合が多いです。
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- FRP造形
FRPFRP造形
FRP造形の仕組み
FRP造形の特徴
二次加工しやすい
FRPの最大の特徴といえば、後加工のしやすさがあげられます。プラスチック全般は、穴あけ・切削などの加工はしやすいですが、後から何かを接合するとなると、安全強度を保ったまま接着できるものは少ないです。FRPは、パーツどうしを後から接合したり、補強のため金物を仕込んだり、表面の傷やへこみをパテで埋め塗装するなど、二次加工が簡単にでき、接着強度が高いという造形に非常に適した素材なのです。
継ぎ目が見えない
金属や他のプラスチックによって作られた製品は、板の接合ラインや規格サイズを超える部分は、必ず継ぎ目が見えます。
FRPどうしの接合は裏や表からFRP接着で一体化でき、継ぎ目がないデザインが可能です。
FRPどうしの接合は裏や表からFRP接着で一体化でき、継ぎ目がないデザインが可能です。
三次曲線のデザインができる
金属や木工、他のプラスチックによって作られた製品は、直線と二次曲線が主になります。三次曲線を表現するためには無垢のブロックを削り出す方法になり重くなります。FRPは、スチロール原型や粘土原型で三次曲線を表現して型どり、中空で成型できるので軽く自由な形のデザインが可能です。
耐久性
FRP成型の詳細な手順
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FRP造形物の製作の流れ (量産品の場合) -
スチロール原型
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- 石膏型どり
2- FRP成型
3- 下地処理
4- マスター原型
5- 量産型
6- 量産(FRP成型、下地処理の繰り返し)
7- 塗装
8FRPは身近な素材
FRPは、実はとても身近な存在で、一般の人はそれがFRP造形物だと気づいていないだけです。
特に遊園地にはFRP造形物が多く、オブジェ、ベンチ、噴水、滑り台などの遊具の多くがFRPで作られています。
また、スポーツ用品の多くは軽くて丈夫なFRPに置き換わっています。-
プール
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バスタブ
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ボート
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飛行機
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車
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フォーミュラカー
FRP関連用語
- 樹脂
- FRPにおける樹脂とは、実際の木の汁ではなく石油を原料とするもので、ほとんどは不飽和ポリエステル樹脂が使われています。樹脂はレジンとも呼ばれ広い範囲で樹脂全般を指し、プラスチックとは樹脂で成型され硬化した製品を指します。
- ガラス繊維
- ガラスを繊維状にしたもの。布状のものが一般的でガラスマットと呼ばれますが、糸状の物、網目状のものなど様々な形態があり、厚みの違いによって380番、480番などの名前があります。380番とは、1枚のマット1㎡の重さが380gという意味です。これでできたFRPをGFRPと言い、重さは鉄の1/4程度で、硬さは鉄の約10倍にもなります。
- 炭素繊維
- アクリル樹脂や石油、石炭からとれる有機物を繊維化して特殊な熱処理を施したもので、「カーボンファイバー」とも呼ばれます。ガラスよりさらに強度が求められるときに使いますが、オブジェとしての造形物で使われることはまずありません。スポーツカーや飛行機などに使われ、とても軽くて強度のある物が造れます。非常に高価なものになり、これでできたFRPをCFRPと言います。
- PLY(プライ)
- プライとは層という意味で、FRPの中にガラスマットを枚数積層したかを表します。2枚のガラスマットを積層したものをを2プライ、3枚の場合は3プライと言います。枚数が増えるほど強度が増していきます。おおむね1プライにつき厚みが1ミリと考えてください。
- FRPオーバーレイ
- スチロールなどをFRPでコーティングして強度を上げること、または補強金物などのFRP製ではない異物をFRPでサンドイッチして接着する手段を意味します。
- FRPライニング
- 防水処理としてFRPでコーティングすることを指します。
- トップコート
- ゲルコート、1ゲルとも呼びますが、FRPの中で人の目に触れる表面の樹脂を指します。ガラスは入っておらず、赤や黄など色を混ぜることができます。赤のゲルコートを使って成型したものは塗装しなくても赤の製品として製作することができます。これをゲルコート仕上げと言います。
- 石膏型どり