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第5項 プラスチック

金属で立体造形物を作るのが金属工芸屋、木で立体造形物を作るのが木工屋。プラスチックで立体造形物を作るのが私たち造形屋です。
ここではプラスチックについての基本的な性質を解説していきます。
この知識は、透明製品の製作や真空成型を使う場合、造形素材の使い道を系統的に理解するために必要になります。

プラスチックは日本語では合成樹脂、または、それでできた製品のことを指します。
ちなみに英語では樹脂全般のことをレジンと言います。ほとんどのプラスチックはポリ〇〇という名称で分類され、製品のラベルにはPE、PPなど頭文字で表記されていることも多いです。
ポリ○○となっていないものは、いくつかの樹脂が混合したものや、ある性質でくくられた総称としての樹脂です。

各種の樹脂は、材料を構成するバインダーとして使われます。
バインダーとは、造形業では非常に重要な用語で「物と物を結びつける物質」のことを言います(bind=結びつける)。
例えばウレタン塗料とは、ウレタン樹脂をバインダーにして顔料を造形物に接着させる塗料です。

造形材料の多くは、それぞれの樹脂をバインダーとしてパテやシーラーになり製品化されています。
よく使われる樹脂は5種類で、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ、アクリル、シリコンです。
樹脂には、おのおの基本性質がありそれは姿を変えても反映されます。ウレタン樹脂の柔軟な性質は、成型物になっても、接着剤や塗料になっても反映されているということです。
パテして傷を埋めたいという目的があり、タルクなどで充填するとして、どの樹脂をバインダーとするのが、今の状況で適切かという考えで材料は作られています。
エポキシをバインダーにすれば、やせが少なく、硬度が高く、硬化の遅いパテになり。ポリエルテルをバインダーにすれば、磨き易く、硬化が早いが、やせが大きいパテになるという具合です。

また、以上のことから素材には「万能なものはない」とも言えます。基本的には一つの特性を上げたり下げたりすることは他の特性が犠牲になっていると考えて下さい。
ウレタンは、柔軟性があり1液型では硬化が遅いのですが、メーカーが硬化の早い1液型ウレタン樹脂を作った結果、肝心の柔軟性が下がっているかもしれないということです。
特殊な素材を使う場合は、そのつどネットなどで性能表を調べて、一般的な材料と比べてどうかを数値で確認してください。

一つ一つの材料を商品名で覚えるのではなく、樹脂の系統で理解すると造形の発想力は格段に上がり、造形物の用途にふさわしい材料を選択できるようになり、クライアントの信頼を得て、提案ができるようになります。

1. エポキシ樹脂(略号:EP)

エポキシ樹脂とは、分子同士が橋渡しするように手を繋いで硬化する熱硬化性樹脂です。そのため非常に強い結合力を発揮します。何かを接着したいときはまずエポキシ樹脂を思い浮かべてください。
エポキシ樹脂は、何かを強化したり保護したりすることに特化した樹脂と言えます。
接着性
その強力な結合力を活かして、接着剤、塗料、シーラー、プライマー、パテ、コーティング材として利用されます。これらはほとんど2液型です。接着剤と言えば、まずエポキシ樹脂が第一候補です。
硬化
硬化が遅く製品によっては数日かかる場合があります。低温下では0度近くになると硬化が全く進まなくなります。
防水性
細かい結合なので防水性が非常に高く、酸素も通さないため腐食性にも優れます。
耐候性
耐候性は高く、ウレタンと違い経年劣化が少ないので屋外にも設置できます。ただ紫外線に弱いので、次第に白く変化し、透明製品は黄変してきます。
退色は免れないので屋外に設置する場合は上塗りでコートする必要があります。
注型樹脂として
エポキシ透明樹脂はガラスのような高い透明性があり、硬化が遅いので途中で固まってくる心配がなく落ち着いて作業できます。
脱型まで何日もかかる場合があり量産性は悪いです。透明製品の場合、紫外線に弱いのでウレタンクリアーでコートしても次第に黄変してきます。
耐熱性
プラスチックの中では耐熱性も高いです。
耐溶剤性
溶剤に強いです。
強度
柔軟性は少なく硬い樹脂なので衝撃には弱いです。柔軟性を上げるための添加剤があります。収縮が小さい樹脂でもあります。